ニューヨークでの出逢いと目覚め
Chidoriya Story — Chapter 02
1987
ニューヨークでの出逢いと目覚め
New York — The Awakening
メイクアップアーティストとして
As a Makeup Artist in New York
現代表の屋敷(堀切)朋美は1987年に渡米後、ニューヨークを拠点にメイクアップアーティストとして活動していました。
若く華麗なモデル、個性的なミュージシャンや女優達に化粧を施す日々。しかしその目鼻立ちの端正さとは対照的に、浮き彫りになるのが肌の状態でした。
ニキビなどの肌荒れに苦しむ女性たちが少なくありませんでした。美しさで勝負する職業だからこそ、その悩みは深刻でした。
New York, 1987–
プロフェッショナルなアーティストとして、そして自身の問題としても、屋敷はこの肌トラブルを見過ごすことができませんでした。追究した結果、化粧品に配合されている化学薬品がその原因ではないかと疑うようになります。
一つの贈り物が、すべてを変えた
A Gift That Changed Everything
そんなある日、モデルの友人から贈り物を受け取ります。それはその友人の祖母が手作りしたというハーバルウォーターでした。
実際に使ってみると、自身の肌荒れが治まったのです。
「化学薬品を全く含まない化粧品がないなら、自分が欲しいと思う、本当に皆が使いたい化粧品だけを作る会社を作ってしまおう」
有史以来、女性の肌をいたわってきたのは自然由来の成分でした。石油をはじめとする合成成分を配合した化粧品作りの歴史は浅く、その効果や安全性については不確かな点が多いのが現実でした。
ハーバルウォーターの感触は、屋敷にとって「これだ」という直感を得た瞬間でした。
chidoriya corp. ニューヨークに誕生
The Birth of chidoriya corp.
New York, 1999
オーガニックの天然素材には防腐剤代わりとなるものがあります。その性質をうまく引き出せば薬品を添加する必要はないはず——そうごく自然に思えたのには、父の存在がありました。
屋敷の父・堀切修は舞妓や芸妓を顧客とする化粧品や美装品を扱う店を「ちどりや」という屋号で1949年より営んでいました。戦後の物のない時代に、みかんの皮をグツグツ煮てローズウォーターとグリセリンを混ぜた化粧水を芸妓さんたちに配り、喜ばれたこともありました。
シアバターと椿油、運命の出会い
Shea Butter meets Tsubaki Oil
その後、屋敷はシアバター製造団体の代表であるアフリカ人の女性と運命的な出会いを果たします。当時40代だったその女性の肌は、まるで20代のものであるかのように輝いていました。
美の秘訣はシアバターによるシンプルなケアであることを明かした上で、その女性はこう応えました。
「日本人の肌のきめ細やかさは、世界においても突出していますよ」
この言葉から、屋敷はアフリカ人女性の肌を支えるシアバターと、日本古来の椿油をかけ合わせてみたらどうだろうかと、ふと思いつきます。
実際に着手してみたところ、人間の皮脂にすっとなじむ理想的なテクスチャーのクリームが出来上がりました。シアバターと椿油は互いの性質を補い合って、決して喧嘩をすることがありません。
鋭敏に感性を働かせて作られた製品は、保湿や美白に効果があることが証明され、その効能はニューヨークの研究員を驚かせるほどでした。たとえばシアバターの甘酸っぱい香りと、椿油のまったりとしたやわらかな香り、薬効の高い月桃のみずみずしい香りとが混ぜ合わされると——季節で言えば夏の、新鮮でありながら奥行きのある香りに仕上がります。
椿油とシアバター、和の素材が出会う