そんなある日、モデルの友人から贈り物を受け取ります。それはその友人の祖母が手作りしたというハーバルウォーターでした。
実際に使ってみると、自身の肤荒れが治まったのです。
「化学薬品を全く含まない化粧品がないなら、自分が欲しいと思う、本当に皆が使いたい化粧品だけを作る会社を作ってしまおう」
有史以来、女性の肤をいたわってきたのは自然由来の成分でした。石油をはじめとする合成成分を配合した化粧品作りの歴史は浅く、その効果や安全性については不確かな点が多いのが現実でした。
ハーバルウォーターの感触は、屋敷にとって「これだ」という直感を得た瞬間でした。
その後、屋敷はシアバター製造団体の代表であるアフリカ人の女性と運命的な出会いを果たします。当時40代だったその女性の肌は、まるで20代であるかのように輝いていました。
美の秘訣はシアバターによるシンプルなケアであることを明かした上で、その女性はこう応えました。
「日本人の肌のきめ細やかさは、世界においても突出していますよ」
この言葉から、屋敷はアフリカ人女性の肌を支えるシアバターと、日本古来の椿油をかけ合わせてみたらどうだろうかと、ふと思いつきます。
実際に着手してみたところ、人間の皮脂にすっとなじむ理想的なテクスチャーのクリームが出来上がりました。シアバターと椿油は互いの性質を補い合って、決して喧嘩をすることがありません。
バラバラのパズルが、合わさった瞬間
鋭敏に感性を働かせて作られた製品は、保湿や美白に効果があることが証明され、その効能はニューヨークの研究員を馨かせるほどでした。たとえばシアバターの甘酸っぱい香りと椿油のまったりとしたやわらかな香り、薬効の高い月桃のみずみずしい香りとが混ぜ合わされると——季節で言えば夏の、新鮮でありながら奥行きのある香りに仕上がります。
椿油とシアバター、和の素材が出会う